10/1発売!『庭NIWA No.241』造園空間に求められるものとは 高齢者福祉と庭

NIWA SPECIAL REPORT
見慣れた故郷の景色に溶け込む庭
特別養護老人ホーム あさひ苑
造園設計=愛植物設計事務所 造園施工=双葉造園、橘造園

今回は高齢者福祉に寄り添う庭がテーマです。わたしは宇和島の広大な土地を活用した要介護者施設を取材しました。
10ページで、施設の多様な側面をご紹介させて頂きました。日々の運営主体の方々の対談も書かせて頂いております。
余りに広い敷地と、物件の敷地に留まらない周囲の景色との融合をどう表現したらいいか、写真の選択やレイアウトも含め試行錯誤しましたが、今まで書いてきたものの中でも個人的にお気に入りの記事の1つになりました。

今回印象に残ったのは、「職員をケアできる庭」というフレーズです。職員にとって良い庭は、入居者にとっても良い庭。日々地道で地味な仕事を継続する介護施設の長が、まず最初に職員さんへのケアを口にされたのは少し驚きました。

実はその翌日、松山へ赴き下見や見学をする中で、ラグジュアリーホテルの総支配人に話を伺った時「今わたしが考えてるのはスタッフがいかに居心地が良くなるか、それだけです。スタッフが心から楽しんでいれば、お客様はスタッフが連れてきてくれます」とおっしゃったのは奇しくも全く同じ視点と感じて、時代性をかんじました。わたし自身、あと30-40年後に迫った後期高齢者という年齢をどう迎えたいのか、少し、考えるきっかけになった気がします。

また、本物件の設計者である山本紀久/愛植物設計事務所さまから、特別寄稿も頂いており、合わせて目を通して頂けると更に深さにボリュームのある内容かと思います。(こちらは編集長のお仕事)

恒例の書籍紹介もしています。
このところ毎回、この雑誌的にはイレギュラーなほどに対談原稿をしっかり書かせていただいています。写真ももちろん沢山の情報を伝えられますが、やはり計画者、利用者の言葉をしっかり伝えることでご理解いただけることも多いと思うので、グラフィック雑誌の紙面を文字で覆うことを良しとしてくださる編集長には感謝です。文字数の関係で対談で書ききれないことは、写真キャプションに込めていますので細かい字ですがご堪能ください。